猫の後大静脈後尿管に対する尿管膀胱新吻合術
今回は猫の後大静脈後尿管、尿管結石に対する尿管膀胱新吻合術についてです。
症例は腎盂の拡張がみられ、無尿状態で急性腎不全の状態でした。
尿管閉塞を疑い試験開腹を行いました。
開腹した写真です。右が頭側になります。
通常、尿管は後大静脈の腹側を走行していますが、この猫の尿管(右側)は後大静脈の背側を走行していました。
これを後大静脈後尿管といい、先天的な血管の走行異常ということでかなり珍しい症例です。
尿管を持ち上げているところです。
通常は尿管の腹側に引っかかる構造物はありませんが、
この猫は後大静脈が尿管の腹側を走行していることがわかります。
今回は右尿管を切断し、後大静脈の腹側を通して膀胱に繋ぐという、尿管膀胱新吻合術という術式で対応しました。
下の写真は尿管を膀胱に転移して縫い付けたところです。
尿管の近位に尿管結石が存在したため、尿管切開も施術しています。
膀胱の内部からも尿管を縫合して固定しています。
術後数日は尿が出ない日が続きましたが、その後尿が出始め腎数値は正常に戻りました。
術後半年以上経った現在も腎数値は正常値をキープし元気でいてくれています。