猫の会陰尿道造瘻術
今回は猫の会陰尿道造瘻術です。
猫は泌尿器系のトラブルが多いですが、特に雄猫の場合、陰茎の尿道内に結石が詰まってしまうことが
非常に多いです。
猫の結石は尿のpHによって尿中ミネラルが結晶化することで産生され、食餌の影響を受けていることがほとんどです。
結石が尿道に詰まってしまった場合、膀胱に貯留した尿の出口が塞がってしまっているため、猫は何度もトイレに行って排尿ポーズをとりますが尿が出ないという症状になります。
閉塞が解消されないと腎臓に負担がかかってしまい、急性腎不全から尿毒症となり命にかかわる状態となってしまいます。
治療法としては、陰茎からカテーテルを挿入して閉塞を解除して尿路を確保することが必要となります。
大体の場合、数日の尿道カテーテル留置と点滴・投薬により良好な経過をとりますが、
何度も再発を繰り返してしまう場合は外科手術の適応となります。
術式を会陰尿道造瘻術といいます。
術前の肛門、会陰の状態です。
毛刈りをして、消毒します。
包皮周囲を切開し、陰茎を牽引します。
目的の位置まで陰茎を牽引できたら背側を切開して陰茎を広げます。
広げた陰茎粘膜と皮膚を縫合して会陰部に新たな尿道を形成していきます。
写真は尿道口にカテーテルを挿入してあります。
術後2ヶ月ほどの写真です。
傷口も問題なく排尿状態も良好です。